通所介護(デイサービス)の記録・送迎・請求をAIエージェントに——管理者の多重業務をこう減らす
2026年7月15日 · 通所介護・デイサービス
想定される導入シーン
- 管理者・生活相談員が担う業務日誌・送迎表・月次請求突合の多重業務負担を軽減する
- 業務日誌の記載漏れや実績データの不一致による介護報酬の返戻リスクを構造的に防ぐ
- 申し送り・家族連絡の属人化を解消し、利用者の状態変化を確実に引き継げる体制をつくる
- スタッフが音声または短文で入力した支援内容をLLMが業務日誌フォーマットに自動変換
- 利用者住所・乗降希望時刻・当日キャンセル状況を入力とし送迎ルート候補を自動提示
- 月間の利用実績記録と加算算定条件を自動照合し、請求ドラフトと差異フラグを一覧化
- 日々の業務日誌入力にかかる1人あたりの時間を半分以下にできる余地(目安)
- 月末の請求突合作業を前倒し・分散でき、月末集中の深夜残業を減らせる余地(想定)
- 申し送りの記載漏れや家族連絡の遅延を減らし、ヒヤリハット対応の速度を上げられる余地
※ 数値は一般的な公開情報をもとにした目安であり、特定の実績を示すものではありません。
通所介護(デイサービス)の事業所では、管理者・生活相談員が業務日誌・送迎調整・月次請求・申し送りを少人数でこなす構造になっています。本ページは公開情報をもとに「こういう使い方もできる」という活用イメージを編集部が構成したものです。
① 最新情報の調査:通所介護 × AI でいま何ができるか
2026年時点で業務日誌・申し送りの記録作業を音声AI+生成LLMで自動化する仕組みが実用域に入り、厚生労働省もケアプラン原案作成への生成AI活用を公式に後押ししています。
2026年現在、音声認識と生成AIを組み合わせた介護記録の自動化ツールが現場に浸透しています。スタッフが支援内容を音声で話すだけでLLMが業務日誌フォーマットに変換する仕組みが複数のサービスから提供され始めており、「書く仕事」を減らして利用者に向き合う時間を増やせる余地が生まれています。
厚生労働省は2025年4月公表の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ」の中で、居宅サービス計画書(ケアプラン)やサービス担当者会議の議事録の原案作成に生成AIを活用することが業務効率化につながると明記しました。同年に介護テクノロジー利用の重点分野も拡充され、ICTや生成AIを含む介護ソフトが補助対象に加わっています。
さらに、ケアプランデータ連携システムへの加入が処遇改善加算の算定要件として検討されており、ICT化は加算維持の条件になりつつあります。
② 需要の特定:なぜ管理者・生活相談員が詰まるのか
通所介護のボトルネックは毎日の業務日誌・送迎表・月次請求を少人数が兼務する構造にあり、記録ミスが介護報酬の返戻リスクに直結します。
事業者の約66%が人材不足を実感し、介護職員の約4割が「事務作業の多さ」を負担に感じているという調査があります(厚生労働省調べ)。通所介護特有のボトルネックを整理すると以下のようになります。
- 業務日誌の毎日記録: 実施状況・機能訓練の内容・バイタル・参加人数を法定書類として記録する義務があり、これが加算算定の根拠になる。記載漏れは算定否認に直結するため省略できない
- 送迎表の組み立てと当日変更対応: 利用者ごとの乗降順序・到着予定時刻・車両割り当てを毎日組む作業は、当日キャンセルや追加のたびに担当者が手作業で修正するため、朝の時間帯に負荷が集中する
- 月末の請求突合: 利用実績・加算の種類・利用者の介護度を国保連への給付費請求に合わせて突合する作業が月末に集中する。記録ミスがあれば返戻が生じ、再請求の手間が増える
- 申し送り・家族連絡の属人化: 利用者の状態変化やヒヤリハットを後続スタッフと家族双方に伝える作業が担当者の記憶に依存しやすく、伝達漏れが生じやすい
最終的なケアプランの策定・変更判断は介護支援専門員(ケアマネジャー)が担い、医療行為の可否判断は医師・看護師が担います。個別サービス計画書の最終承認は管理者・機能訓練指導員が行います。これらは人間が必ず関与すべき業務として明確に切り分けた上で、記録の初稿・送迎ルート候補・請求突合の「下書き作業」にAIを活用する設計にします。
③ 用途の考案:記録・送迎・請求の3軸で実装する
通所介護のAI活用は「記録の構造化・下書き生成」「送迎ルート候補の提示」「月次請求の突合チェック」の3軸で設計すると、スタッフの入力負担と月末の作業山を同時に減らせます。
1. 記録エージェント(業務日誌・申し送り)
スタッフが夕方の片付け中に「Aさん、入浴拒否なし、機能訓練20分実施、食事9割摂取、特変なし」と口頭または短文で入力すると、LLMが業務日誌フォーマット(実施時刻・内容・参加者・特記事項)に変換して仮記録を生成します。管理者がその日の終わりに一括で確認・修正して確定する流れにすることで、件ごとの手入力負担を削減できます。申し送り用の要点サマリも自動生成しておけば、後続スタッフへの伝達をテキストベースで標準化できます。
2. 送迎ルート候補エージェント
利用者ごとの住所・乗降希望時刻・車両定員・当日キャンセル状況を入力とし、効率的な乗降順序の候補を自動提示します。担当者は提示された候補を確認・微調整して確定する形にするため、毎朝の送迎表組み立て時間を圧縮できます。
3. 月次請求突合エージェント
月間の利用実績記録(業務日誌から集約)と加算算定条件を自動照合し、請求データのドラフトと差異フラグをリスト化します。返戻が生じやすいパターン(加算の算定漏れ・利用回数の不一致)を事前に指摘し、管理者が最終確認・送信する流れにすることで月末の突合作業を前倒し・分散できます。
いずれのステップでもスタッフ・管理者による確認と最終承認が必須工程に組み込まれており、AIの生成物はあくまで「下書き」として扱います。
④ 設計・運用のポイント
要配慮個人情報の取り扱いと法定様式への適合が通所介護のAI導入で最初に固めるべき2点です。補助金制度を活用すれば初期コストを抑えた試験導入も可能です。
- 要配慮個人情報の保護: 利用者の氏名・要介護度・疾病情報・ADL情報は個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当します。外部LLMへ送信する際は氏名をIDに置き換える匿名化処理を施すか、閉域ネットワーク上で動作する構成を選択してください
- 業務日誌の法定様式対応: 業務日誌の記載項目は提供する加算の種類(機能訓練加算・入浴介助加算等)によって異なります。導入前に使用する様式と加算の種類を棚卸しし、LLMへの出力フォーマット定義を固めることが精度維持の前提になります
- スタッフへの段階的展開: ICTに不慣れなスタッフが多い環境では、まずチェックリスト形式の短文入力から始め、慣れてから音声入力への移行を検討する進め方が現場の摩擦を抑えます
- 運営指導への備え: AIが生成した業務日誌のドラフトを誰がいつ確認・承認したかのログを自動保存しておくことで、運営指導での記録確認に対応しやすくなります
- 補助金・加算の活用: 厚生労働省・経済産業省が推進する介護テクノロジー導入支援や各自治体のICT補助を活用することで、初期コストを抑えた試験運用が可能です。処遇改善加算のICT要件化が進む中、早期に体制を整える意義があります
現場で想定されるニーズ
夕方のスタッフが帰った後、今日の業務日誌の確認と月末の請求突合が重なると本当に手が回らない。利用者Aさんの状態変化を家族に連絡する前に記録作業が終わらないことがある——記録の初稿をAIが準備してくれれば、その時間をケアの改善に使えるはずです。
— 想定ペルソナ:通所介護事業所の管理者兼生活相談員
活用した最新モデル・機能
今後の展望
業務日誌の自動化が定着した次のステップとして、蓄積された利用記録から利用者の機能変化のパターンを分析し、個別サービス計画書の見直しタイミングを自動検知する方向が考えられます。送迎ルートと利用者の体調データを組み合わせて乗車中の安全管理を支援する仕組みへの発展も視野に入ります。
調査の出典・需要根拠
- https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html
- https://caretasukeru.com/day-seniors/9584/
- https://media.souzoh-official.com/kaigo-jimu-ai/
- https://ads.kaipoke.biz/day-service/operation/care-work-daily.html
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