訪問看護の記録・看護計画をAIエージェントに——ステーションの記録業務をこう減らす
2026年7月17日 · 訪問看護・訪問看護ステーション
想定される導入シーン
- 訪問後の記録作業(SOAP形式・実施時間・目標達成評価)を訪問当日中に完結させ、残業・持ち帰り業務を削減する
- 月次の訪問看護計画書・報告書のドラフト作成を前月記録から自動生成し、管理者の書類負担を軽減する
- 記録品質を看護師の経験年数に依存しない水準に底上げし、小規模ステーションの人材不足リスクに備える
- 訪問直後に音声で入力した情報を、AIがSOAP形式・実施時間・目標達成評価を含む記録書Ⅱ相当の構造へ自動変換
- 前月の訪問記録・バイタル推移・ケア内容を読み込み、訪問看護計画書と主治医への月次報告書のドラフトをLLMで生成
- 医師からの指示書・介護支援専門員(ケアマネ)との情報共有は人間の確認フローを必須とし、最終判断を担保する
- 1訪問あたりの記録入力時間を大幅に短縮できる余地(目安:現状20〜30分 → 5〜10分以内)
- 月次の計画書・報告書作成に要する工数を半減程度に削減できる可能性(想定)
- 記録の標準化により、ステーション内での申し送り・多職種連携の情報品質が向上する余地(想定)
※ 数値は一般的な公開情報をもとにした目安であり、特定の実績を示すものではありません。
訪問看護の記録業務(SOAP形式・月次計画書・主治医報告書)はAIが下書きを担いやすい領域です。本ページは公開情報をもとに「こういう使い方もできる」という活用イメージを編集部が構成したものです。
① 最新情報の調査:訪問看護記録 × AI でいま何ができるか
令和8年度(2026年度)の報酬改定で、訪問看護記録には実施時間の明記と目標達成評価の記載が実質的に必須化されました。記録の厳格化が進む一方、現場の看護師が使える業務時間は限られています。
この課題に応えるかたちで、AIを活用した訪問看護記録の自動化ソリューションが複数登場しています。株式会社クラシテクが提供する「AIオペ自動記録書Ⅱ入力」は、スマートフォンに向かって話しかけるだけで訪問看護専門用語(褥瘡・嚥下・ADLなど)に対応した音声認識が走り、SOAP形式の記録書Ⅱ相当のドラフトを自動生成します(2025年10月より無料提供)。Allm Inc.は多職種連携システム「Team」にAI要約機能を搭載し、パイロット実証で報告書作成時間を最大42%削減できることを示しました(2026年5月公表)。eWeLL(iBow)は国内初の生成AIによる訪問看護報告書の自動作成機能をリリースしており、前回記録の文体を学習して一貫したトーンで生成できる機能も持ちます。
② 需要の特定:なぜ記録が後回しになるのか
訪問看護ステーションで記録業務が残業・持ち帰りの温床になる構造的な理由があります。
- 訪問から記録まで時間が空く: 1日に5〜8件の訪問をこなした後、事務所に戻ってから全件分の記録を入力するスタイルでは、夕方以降の集中入力が常態化する
- SOAP形式の整理に判断が必要: 主観的情報・客観的情報・アセスメント・プランに構造化するには訓練が要り、新人看護師の記録品質が安定しにくい
- 月次書類が集中する: 訪問看護計画書(月次更新)・主治医への定期報告書・介護保険の実績記録票が月末・月初に集中し、管理者に負担が偏る
- 多職種連携で情報を整形し直す: ケアマネや医師に共有する際、看護視点の記録を「わかりやすい要約」に変換する二重作業が生じやすい
業務時間外の記録入力が看護師の疲弊と離職につながりやすいことは、業界団体の報告でも課題として指摘されています。1週間分のスケジュール作成だけで150分を超えるケースもあり、属人化した業務が管理者を拘束し続けるという悪循環が起きやすい構造です。
③ 用途の考案:実装イメージ
| ステップ | 担当 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 音声入力・AI整形エージェント | 訪問中〜直後に看護師が音声入力 → SOAP形式・実施時間・目標達成評価を含む記録書ドラフトに自動変換 |
| 2 | 看護師(人間) | ドラフトを確認・修正・承認。最終的な医学的判断は必ず人間が行う |
| 3 | 計画書・報告書生成エージェント | 承認済み記録をもとに月次の訪問看護計画書・主治医報告書のドラフトをLLMで生成 |
| 4 | 管理者(人間) | 計画書・報告書の内容を確認し、必要に応じて修正・署名 |
| 5 | 多職種連携サマリーエージェント | ケアマネ・医師向けの要約を構造化して生成・共有 |
医師からの指示に基づくケア内容の変更、利用者の状態悪化時のエスカレーション判断、最終的な看護評価は必ず看護師・管理者の人間が担います。AIの役割は「情報の構造化と下書き生成」に限定し、医療法・保健師助産師看護師法に抵触する行為を行わせない設計を原則とします。
④ 設計・運用のポイント
- 音声入力を「訪問直後」に習慣化する: 記録の効果を最大化するのは、訪問を終えた直後(車内・玄関前)に話しかけるサイクルです。事務所に戻るまで待たせると記憶の精度が落ち、ドラフト修正コストが増えます
- 訪問看護専門用語の辞書を整備する: 汎用LLMは「褥瘡」「嚥下」「ADL」「バイタル」等の臨床用語を概ね扱えますが、自ステーションで用いる略語・利用者固有の呼称はカスタム辞書として補完しておくと精度が上がります
- 承認フローをシステムに組み込む: 「AIドラフト → 看護師確認 → 管理者確認(月次書類)」の承認ステップをワークフロー上で必須化し、未承認のまま請求システムへ連携しない設計にします
- 令和8年度改定の様式変更に追従する: 記録書式は報酬改定のたびに改訂されます。記録テンプレートの参照元(厚生労働省・都道府県の最新通知)を定期確認し、プロンプト・テンプレートに反映する運用ルールを設けます
参考
現場で想定されるニーズ
訪問件数が増えるほど記録の時間が追いつかず、夜に事務所で入力している日が続く。音声で話しかけたら記録が整形されて出てくるなら、訪問帰りの車の中で完結できるかもしれない——そういう使い方ができたら現場が変わる。
— 想定ペルソナ:訪問看護ステーションの管理者兼主任看護師
活用した最新モデル・機能
今後の展望
訪問看護記録の自動化が定着した次の段階では、バイタル推移の異常予兆を検知し主治医へのエスカレーションを補助するエージェントへの発展が見込まれます。また、介護支援専門員(ケアマネ)・医師・薬剤師との情報共有を一元管理する多職種連携ハブとして機能させることで、在宅医療全体の連携品質を底上げできる余地があります。
調査の出典・需要根拠
こうした活用を自社で検討する
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