訪問介護のシフト・訪問記録・実績報告をAIエージェントに——サ責の多重業務をこう減らす

2026年6月28日 · 訪問介護・在宅介護

ユースケース訪問介護シフト管理業務自動化
想定業種
訪問介護事業所(居宅介護支援との一体型含む)
規模
登録ヘルパー20〜60名・利用者50〜150名規模
対象業務
ヘルパーシフト調整・訪問記録作成・実績記録票の取りまとめ・ケアマネへの報告
ありがちな課題
サ責の多重業務・記録の書き方がヘルパーによってバラバラ・月末の突合作業が深夜に及ぶ
想定する課題
  • サービス提供責任者(サ責)のシフト調整・記録確認・ケアマネ対応の多重業務負担を軽減する
  • 訪問記録とサービス提供実績記録票の内容不一致(不適切請求リスク)を構造的に防ぐ
  • 登録ヘルパーの記録入力負担を下げ、サービス継続意欲と定着率を高める
アプローチ
  • ヘルパーが訪問後にスマートフォンで音声入力した内容をLLMが訪問記録フォーマットに自動変換
  • 訪問記録データと予定票を自動照合し、実績記録票のドラフトを生成して差異をフラグ起票
  • シフト調整時にヘルパーの稼働予定・資格・移動距離を加味した割り当て候補を提示
期待できること
  • サ責が記録確認・突合に使う時間を1日あたり1〜2時間削減できる余地(目安)
  • 実績記録票の記入漏れ・不一致を事前に検出し、運営指導リスクを低減
  • ヘルパー1件あたりの記録入力時間を半分以下にできる余地(目安)
-70%
実績記録票の手入力・突合工数削減(目安)
即日
訪問記録→実績ドラフト完成の想定タイミング(従来は翌日〜月末)
-50%
ヘルパー1件あたりの記録入力時間削減(目安)

※ 数値は一般的な公開情報をもとにした目安であり、特定の実績を示すものではありません。

訪問介護のサービス提供責任者は、シフト調整・訪問記録の確認・実績記録票の取りまとめ・請求書作成・ケアマネ連絡という多重業務を少人数でこなしています。本ページは公開情報をもとに「こういう使い方もできる」という活用イメージを編集部が構成したものです。

① 最新情報の調査:訪問介護 × AI でいま何ができるか

2026年時点で、音声認識とLLMの組み合わせにより「訪問後に口頭で話すだけで介護記録が完成する」フローが実用域に入りました。訪問介護の記録業務は施設介護と異なり「ヘルパーが単独で利用者宅を離れた後に記録を完成させる」構造があるため、移動中・帰宅後の音声入力→テキスト変換→フォーマット変換という流れと相性が良いとされています。

厚生労働省が公開するサービス提供実績記録票の様式は分単位で正確な記入が求められており、訪問記録との一分の齟齬が不適切請求の疑いを招く仕組みです。このチェック工程は介護ソフトのICT化が進んでも手作業が残りやすい領域で、AIによる突合自動化の需要が高まっています。

② 需要の特定:なぜサ責が詰まるのか

訪問介護事業所のボトルネックは、サービス提供責任者(サ責)への業務集中に起因します。

  • 記録確認の多重チェック: ヘルパーが紙・アプリで入力した訪問記録をサ責が翌日に確認・修正してから実績記録票に転記する。記載ミス・抜けは不適切請求リスクに直結するため省くことができない
  • シフト調整の煩雑さ: 登録ヘルパーはパートタイムが多く、資格の種類・移動手段・曜日の稼働制限・利用者との相性が複雑に絡む。変更が生じるたびに手作業で再調整が必要になる
  • 月末の突合作業: 月次の介護給付費請求に向け、訪問実績票・予定票・請求ソフトの3者が一致するか突合する作業が集中する。通常業務を抱えたままの月末2〜3日が最大の負荷ポイント
  • ケアマネ対応の後回し: 記録・突合・請求が優先されるため、ケアマネへの状況報告やモニタリング連絡が遅延しやすい

最終的なサービス計画の策定・変更判断(ケアプランの作成・修正)は介護支援専門員(ケアマネジャー)が担い、医療行為の可否判断は看護師・医師が担います。これらは人間が必ず関与しなければならない業務として明確に切り分けた上で、記録・突合・シフト候補提示の「下書き作業」にAIを活用する設計にします。

③ 用途の考案:実装イメージ

  1. 訪問記録エージェント(ヘルパー向け): 利用者宅を出た後、スマートフォンに向かって訪問内容を30秒〜1分で口頭吹き込みまたはタップ入力。LLMが訪問記録フォーマット(開始時刻・終了時刻・援助内容・特記事項)に自動変換し、仮記録として送信する
  2. 実績突合エージェント(サ責向け): 仮記録と当月の予定票を自動照合し、差異(時刻ズレ・内容の不一致)をフラグ付きで一覧表示。サ責は差異のある件だけを確認・承認すればよく、全件チェックが不要になる
  3. 実績記録票ドラフト生成: 承認済みの記録をもとに、厚生労働省様式に準拠した実績記録票のドラフトを自動生成。サ責が最終確認・署名して確定させる
  4. シフト候補提示エージェント: ヘルパーの稼働可能日時・資格・利用者住所を入力とし、最適な担当候補を提示。サ責が微調整して確定する

いずれのステップでもサ責・ヘルパーによる確認・承認が最終工程に組み込まれており、AIの生成物はあくまで「下書き」として扱います。

④ 設計・運用のポイント

  • 個人情報の保護: 利用者の氏名・住所・要介護度・疾病情報は個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当する。外部LLMに送信する場合は匿名化またはID変換を実施し、閉域ネットワーク上の処理環境と組み合わせる設計が安心
  • 法定様式への適合: 実績記録票の様式は保険者(市区町村)によって異なる場合がある。導入前に使用様式を棚卸しし、フォーマット定義を固める
  • ヘルパーへの段階的展開: ICTに不慣れな高齢ヘルパーが多い環境では、まずタップ選択式(チェックリスト形式)の記録入力から始め、慣れてから音声入力に移行する進め方が現場の摩擦を抑える
  • 監査ログの保持: 運営指導で記録の確認を求められる場合に備え、誰がいつ何を確認・承認したかのログを自動保存しておく
  • 導入支援制度の確認: 厚生労働省の生産性向上支援体制加算や、各自治体のICT導入助成の活用により初期コストを抑えた試験導入ができる場合がある。事前に活用可能な制度を確認することを推奨

月末になると実績票の突合だけで丸2日つぶれる。ヘルパーの記録と予定票のズレを1件ずつ確認してから請求書を作っていると、ケアマネさんへの連絡がどんどん後回しになる。突合を自動でやってもらえれば、その時間を丸ごとケア品質の改善に使えるのに——そんなニーズに応えられる設計です。

想定ペルソナ:訪問介護事業所のサービス提供責任者
Claude 系 LLM による訪問記録の構造化・フォーマット変換音声認識モデルによるヘルパーの音声入力テキスト化エージェントオーケストレーションによる記録→実績票→差異フラグ検出の多段処理スケジューリングエージェントによるヘルパー割り当て候補の生成9軸評価によるアウトプット品質モニタリング

実績記録の自動化が定着した次は、ヘルパーごとの移動動線・稼働パターン・利用者の状態変化を組み合わせた最適シフト自動提案へ発展させる余地があります。蓄積されたケアログを分析して利用者の状態変化を早期検知し、ケアマネへの情報提供の質と速度を上げる方向も検討できます。

  • https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000763546.pdf
  • https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51455.html
  • https://ads.kaipoke.biz/home-visit/operation/care-record.html
  • https://si-academy.jp/business/home-visit-care-staff-shortage/

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